ミスに対する考え方を変えよう
優等生タイプの生徒は、なかなか手が進まないことがある。少しのヒントだけを与えて自由にプログラムさせようとすると、長く考え込んでしまう。間違えることを怖がっているようにも見える。
一方、やんちゃなタイプの生徒は、ヒントの説明も早々に聞き流して、どんどんプログラミングを進めてしまう。ヒントの説明も聞いていないのだから、最初は間違ったプログラムを作るが、間違えたことなど意に介せず、またすぐにプログラムを作り始める。
教える側としては、もう少しちゃんと聞いてほしいと思うのだが、実は、やんちゃなタイプの生徒は、失敗を繰り返して修正して正解を導くトライアンドエラーを繰り返しているのだ。正解にたどり着けないことも多いが、正解を自分の力で見つけることもある。
革新的な企業を紹介するテレビ番組を見ると、創業してすぐに成功して、そのまま成功し続けている会社などなく、ほとんどの会社がチャレンジと失敗を繰り返して成功している。失敗を恐れてチャレンジしない会社は、時代と共に繁栄し続けるのは難しいのではないだろうか。
学ぶ側の意識も、先生の指示や説明を待つのではなく、自分で考えて失敗を繰り返しながら学ぶトライアンドエラーが必要だと思う。
やんちゃな生徒は、先生の話をあまり聞いてくれないので、プログラミングを学び初めの頃は、本当にプログラムを理解しているのか疑わしかったり、プログラムをどんどん改造してしまい、動かなくなってしまうことも多々ある。しかし、ある時期に、急激にプログラミングの理解力がつき、驚くようなプログラムを作り始めるという場面に何度か遭遇している。
また、私たちは子供の頃から「ミスをしてはいけない」と言われてきたが、ミスや間違えに対する考え方が変わってきている。人間のミスを減らすことに努めるのではなく、人間はミスをしてしまうものと捉え、ミスが許されないことはコンピュータに実施させるという考え方だ。たとえば、トヨタ自動車は、車載システム開発の全工程の自動化に取り組んでおり、モデル作成、モデル検証、モデル(ブロック線図)からのC言語生成、コード検証などが自動化されているが、自動化による目的は工数と人為的ミスを減らすためだ。
もちろん、ミスや間違いを怖がる生徒には、プログラミングではミスや間違いは必ず起こることで、間違っても良いんだよと伝えている。優等生タイプの生徒は、素直な性格の子が多いので、しばらくすると自由にプログラミングするようになっている。